この記事では, 以下を目標として上記の定理を証明します.
- 通りの方法で型の素数の無数性を証明する.
円分多項式を用いた証明
恐らくこちらの方法が一般的です. 任意の正整数に対する型の素数の無数性も, 少しの工夫を加えればこの方法によって証明することができ, 高木先生の『初等整数論講義』などに載せられています.
通常の素数の無数性の証明方法(Euclidの方法)と同様に, 有限個の型素数から新しい型素数が得られることを示し, 帰納的に証明します. したがって目標は
- 初めに用意した型の素数のいずれでも割り切れないような数をつくる.
- その数の素因数として, 型であるようなものを, 初めに用意したものの他に見つける.
二番目の条件については, の因数(円分多項式)を考えれば, 位数の議論から以外のすべての素因数が型であることがわかります. の素因数を使っても同様の方法で証明することはできますが, 実質的にいってこの証明において着目するのはの素因数のみなので, ここではを用います.
証明. をの素因数のつとする. このときよりであって, を仮定すると \begin{align} n^2+n+1\equiv3\not\equiv0\ \ ({\rm mod}\ p) \end{align} となって不合理であるから, のにおける位数はである. Fermatの小定理よりが成り立つことと合わせれば, が得られる.
証明. 与えられたで割って余る素数に対し, それらのすべての積をとし, \begin{align} N=(3M)^2+3M+1 \end{align} とおく. 補題よりの素因数はすべて型であり, かつ, はのいずれでも割り切れないから, 新たな型の素数が得られた. よって再帰的に型の素数を構成することができ, その無数性がしたがう.
あるLucas数列を用いた証明
証明の大枠は先ほどの証明とほぼ同じですが, この証明では, 相互法則と第一補充則により \begin{align} p\equiv1\ \ ({\rm mod}\ 3)\Longleftrightarrow\left(\frac{-3}{p}\right)=1 \end{align} であることを利用します.
(一部の例外を除き) 非零整数の組について, 漸化式 \begin{align} u_0=0,\ u_1=1,\ u_{n+2}=Pu_{n+1}-Qu_n \end{align} によって定義される数列を第二種Lucas数列といい, 以下のような性質が知られています.
証明. 明らかにであるから, をの奇数の素因数とすればである. このとき, 等式 \begin{align} u_{2n+1}=u_{n+1}^2+3u_n^2 \end{align} においてを仮定すると, となり系 4 に反する. よってであって, におけるの逆元が存在し, を両辺にかけてをとると \begin{align} (u'u_{n+1})^2\equiv-3\ \ ({\rm mod}\ p). \end{align} よってはの平方剰余であり, であったから
証明. 相異なる奇素数に対して, 補題よりは型の素因数を持つが, 定理 3 からはどのつも互いに素なので, これらに重複はない. 奇素数は無数に存在するから, 型の素数が無数に存在することが証明された.
に対応するFibonacci数列を用いれば, 上と同じ手法により型素数の無数性を証明できます.